はじめに
「過去は変えられないが、未来は変えられる」
よく聞く言葉です。
事実だけを見れば、確かにその通りでしょう。
起きてしまった出来事そのものは、なかったことにはできません。
けれど、人は「事実」ではなく
「自分が見ている世界」を生きています。
そう考えると、
「過去は本当に変えられないのか?」
という問いが、少し違って見えてきます。
同じ出来事が、別の意味になるとき
たとえば、青春のただ中で
「この人が自分のすべてだ」と思える相手と恋に落ちたとします。
恋が実っている間は、
世界のすべてが輝いて見え、
これ以上ない幸福を感じるかもしれません。
けれど、その恋が不本意な形で終わったとき。
その出来事は一転して、
「人生最悪の出来事」
「これ以上の幸せは、もう来ない」
そんな記憶として、心に刻まれることがあります。
この時点では、確かに
- その人は「最高の人」
- その失恋は「最悪の出来事」
だったはずです。
時間が経つと、景色が変わる
ところが、時間が経ち、経験を重ねていくと、
同じ出来事を、まったく違う言葉で振り返ることがあります。
「あの人、悪い人ではなかったけど
あれが“最高”に見えていたんだな」
「ずいぶん幼い恋だったな」
あるいは、
「あの時、別れていなかったら
今の幸せはなかったなぁ」
そう思える日が来ることもあるでしょう。
その瞬間、
その人はもう「最高の人」ではなくなり、
失恋も「人生最悪の出来事」ではなくなっています。
変わったのは、事実ではない
ここで重要なのは、
出来事の「事実」は何一つ変わっていないという点です。
変わったのは、
その出来事に与えられた 価値や意味 です。
そして、人が
「自分の見ている世界を生きている」以上、
「自分にとっての過去の意味が変わる」
ということは、
過去の世界そのものが変わった
と言っても差し支えありません。
「自分にとっての」過去
だから、こう言い換えることができます。
人は、
「”自分にとっての”過去」を変えられる
それは、過去を美化することでも、
無理に肯定することでもありません。
ただ、今の視点でもう一度見直すことで、
過去は違う顔を見せることがある。
それだけのことです。
そしてこの視点は、これから先の話──
「未来」と向き合うときにも、
とても大切な意味を持ってきます。
ここに灯した言葉を読んで、
もう少し火にあたっていこうと思われたら、
こちらへ…
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