── 本当の目的を思い出す方法 ──
はじめに
以前に、
「I want to(私はどうしたいか)」
を軸にすると人生は少し軽くなるかもしれない、
というお話をしました。
とはいえ、現実には、
「相手に変わってほしい」
と思うことは、どうしてもあります。
もっと優しくしてほしい。
ちゃんと話を聞いてほしい。
そんな言葉を言わないでほしい。
こうした気持ちは、とても自然です。
だから、無理になくそうとする必要はありません。
ただ、その気持ちばかりが大きくなると、
いつの間にか、本当に目指していたものが
見えなくなってしまうことがあります。
人は、相手に意識を奪われやすい
たとえば、ゲームをしているとします。
あと少しでクリアできそうなのに、
途中で、とても強い敵が現れました。
ファイヤーボールは届かない。
近づけば攻撃される。
飛び越えようとしても失敗する。
何度挑戦しても、
そこで止められてしまいます。
そうなると、頭の中はこうなります。
「そんなところに立たないで」
「そんなに攻撃してこないで」
「せめて攻撃を避けないでよ」
つまり、
「敵が変わってくれればいいのに」
という考えで、頭がいっぱいになります。
もちろん、そう思うのは自然です。
目の前で何度も邪魔をされれば、
誰だって「何とかしてほしい」と思うでしょう。
でも、ここで一つ問題があります。
敵のことばかり考えているうちに、
自分が最初に何をしたかったのか
を忘れてしまうことです。
敵を、自分の思い通りには変えられない
残念ながら、ゲームの敵は、
こちらの願いを聞いてはくれません。
敵に向かって
「当たりやすいところに来て」
「攻撃してこないで」
と願っても、プログラムは変わりません。
もちろん、
敵を倒したり、動きを止めたりする方法が、
ゲームの中に用意されていることはあるでしょう。
でも、
敵を自分の希望どおりの性格や行動に変えること
はできません。
現実の人間関係も、少し似ています。
相手には、相手の考えがあります。
相手の事情や価値観もあります。
もちろん、こちらが
「こうしてほしい」
と思うことはできます。
そして気持ちを伝えたり、話し合ったり、
関わり方によって相手や関係が変化することも、
場合によってはあるでしょう。
でも、
相手がどう変わるかを、自分の思い通りにすることはできないんです。
だから、
「相手に変わってほしい」
という思いだけに意識を向け続けると、
自分ではコントロールできないものを、
ずっと追いかけることになります。
それが、苦しさにつながるのです。
本当の目的は、何だったでしょうか
そんなときこそ、一度だけ問い直してみます。
「自分は、本当は何がしたかったんだろう?」
ゲームの場合、本当の目的は、
「敵を変えること」だったでしょうか。
違います。
本当の目的は、
「ゲームをクリアすること」
だったはずです。
敵は、その途中に現れた障害の一つに過ぎません。
ところが敵ばかりを見ていると、いつの間にか
「敵を変えたい」ことそのものが目的になってしまいます。
本当は、先へ進みたかった。
ゲームを楽しみたかった。
クリアしたかった。
それなのに、目の前の敵に意識を奪われ、
「敵を何とかすること」だけが、
頭の中を占めてしまうのです。
「I want to」と「can」で考える
ここで、考え方を少しだけ変えてみます。
「敵が変わってくれたらいいのに。」
ではなく、
「私は、ゲームをクリアするために何ができるだろう?」
と問い直してみる。
ルートを変える。
タイミングを変える。
アイテムを使う。
少し練習する。
誰かに攻略方法を聞いてみる。
すると、
「敵にどう変わってもらうか」
から、
「自分は、目的のためにどう動くか」
へと、意識が戻ります。
「相手を変えようとする」のではなく、
「自分ができること」に意識を戻した瞬間、
ゲームはまた、前に進み始めます。
現実でも同じ
これは、人間関係でも似ています。
「あの人に分かってほしい。」
「あの人に変わってほしい。」
「もっと優しくしてほしい。」
「ちゃんと話を聞いてほしい。」
そう思うことはあります。
そして、その思いを相手に伝えることは、
決して悪いことではありません。
でも、
相手がどう受け取るか。
相手が実際に変わるか。
変わるとして、それは自分の思い通りか。
それは、自分だけでは決められません。
だから、相手の変化だけを待ち続けると、
苦しくなってしまいます。
そんなときは、一度だけ問い直してみてください。
「私は、本当はどうしたいんだろう?」
たとえば、
「分かってほしい」
と思っていたなら、本当は
「自分の気持ちを大切にしてほしい」
のかもしれません。
「変わってほしい」
と思っていたなら、本当は
「安心して一緒に過ごしたい」
のかもしれません。
「そんなことを言わないでほしい」
と思っていたなら、本当は
「傷つかずに話をしたい」
のかもしれません。
本当の目的が見えてきたら、次に考えます。
どう伝えよう。
どう距離を取ろう。
どう付き合おう。
誰かに相談してみよう。
今の自分にできることは何だろう。
自分が動けることへ戻るだけで、
少しずつ、心は軽くなります。
子どもや部下に対しても
子どもや部下に対して、
「どうして分かってくれないんだ。」
「どうしてできないんだ。」
と思うこともあるでしょう。
何度説明しても伝わらない。
同じことを繰り返す。
期待していたように動いてくれない。
そんなとき、つい
「相手がもっと理解してくれれば」
「相手がちゃんと変わってくれれば」
と思ってしまいます。
でもそこで一度、自分に問いかけてみます。
「自分は、本当はどうしたいんだろう?」
子どもに、
自分で考えられるようになってほしいのか。
部下に、
安心して仕事を任せられるようになりたいのか。
一緒に問題を解決したいのか。
本当の目的を思い出すと、
相手を責めることだけが、
唯一の方法ではなくなります。
たとえば、
「どうしてできないんだ」
ではなく、
「どこが難しいと思う?」
と聞いてみる。
「ちゃんと分かって」
ではなく、
「どうすれば、うまくいくと思う?」
と一緒に考えてみる。
すると、
「やってもらう」
から、
「一緒に考える」
へと、関係が変わることがあります。
もちろん、いつもうまくいくとは限りません。
それでも、相手を変えようとするだけではなく、
自分が目的のために何をできるかを考えることで、
新しい選択肢が見えてくることがあります。
相手を諦めるための問いではない
ここで、一つ大切なことがあります。
「私はどうしたい?」
と問い直すことは、
相手を諦めることではありません。
相手に何も期待しないことでもありません。
気持ちを伝えることをやめる、
ということでもありません。
むしろ、本当に大切にしたいものを思い出し、
そのために、自分ができることを選び直すことです。
相手に、
「こうしてほしい」
と伝えることも、
その選択肢の一つです。
少し距離を取ることも、
その選択肢の一つです。
誰かに相談することも、
関係を見直すことも、
その選択肢の一つです。
大切なのは、
「相手が変わること」だけを、
自分の目的にしないことです。
おわりに
「相手に変わってほしい。」
そう思うこと自体は、
悪いことではありません。
ただ、その気持ちが大きくなりすぎると、
本当に進みたかった方向を、
見失ってしまうことがあります。
そんなときは、
一度だけ問い直してみてください。
「私は、本当はどうしたいんだろう?」
その問いは、
相手を思い通りに変えるための問いではありません。
本当の目的を思い出し、
自分にできることを見つけ、
自分の人生を、
もう一度前に進めるための問いなのです。
ここに灯した言葉を読んで、
もう少し火にあたっていこうと思われたら、
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